豊かな自然と、たくさんの史跡や近現代の名建築、さらに大学、ミュージアム、動物園が集う「上野公園」。その上野公園について学びながら、魅力を発信していくレクチャーシリーズの第3回目は、歴史学者の木村直恵さんをゲストにお迎えします。
「自然」「自由」「恋愛」など、いまは当たり前のように使っている言葉の多くは、明治期に近代化を推し進めるために、西洋から輸入した翻訳概念であることは有名です。「社会」もそのひとつ。この言葉がどのように日本に輸入され、私たちはいかにその概念を理解し、そして誤解して、いまに至っているのか。木村さんは、近代日本における社会概念と公共圏の編成をテーマに、「社会」や「公共」といった概念を日本語世界の想像力がどのように捉えてきたのかを探究しています。
「歴史を学ぶことは、わたしたちが日頃当たり前だと思っている”常識”の起源が意外に新しいものであることを知ったり、思いがけないようなかたちで営まれてきた人間の生や思考との遭遇の連続です。自分を成り立たせている”条件”を知ることによって、より柔軟に、自由に未来について考える力を得ること」が歴史研究の持つ可能性だと語っています。
「公園」と「社会」にはさまざまな人々が集い交わる、ひらかれた、公共の場という共通点があります。 “公共”の持つべき精神とは何か。ひらかれた空間とはどのような状態なのか。 社会概念の成立と、上野公園をはじめとする近代の「公園」の歴史が交差する地点から、これからの公共空間について考えを深めたいと思います。
開催概要
- 場所 -東京文化会館 小会議室1 <地図はこちら>
- 日時 – 2018年1月23日(火) 19:00-21:00(受付18:45〜)
- 定員 – 30名 ※先着順・定員に達し次第お申し込みを締め切らせていただきます
- 参加費 – 無料
- 参加申し込み – 事前申し込み制 ※定員に達しましたので、参加申し込みを締め切りました。
登壇者
木村直恵(歴史学者)
1971年広島生まれ。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻博士課程単位取得終了。2000年から京都造形芸術大学専任講師。2003年から学習院女子大学国際文化交流学部専任講師、現在、同大学准教授。専門は、日本近代史・文化史。
主な著書・論文は『〈青年〉の誕生――明治期日本における政治的実践の転換』(1998年、新曜社)。「「開国」と「開かれた社会」」『現代思想・臨時増刊・特集-丸山真男』(2014年8月、青土社)。「「社会学」と出会ったときに人々が出会っていたもの――日本社会学史の原点について」『現代思想・特集-社会学の行方』(2014年12月、青土社)など。