東京国立博物館では浄瑠璃寺九体阿弥陀修理完成記念 特別展「京都・南山城の仏像」が開催されています。
南山城とは、京都最南部の地域を指す呼び名のことで、ここでは仏教伝来から間もない7世紀ごろから寺院が営まれ、京都と奈良の両方からの影響を受けて、仏教文化が育まれてきました。浄瑠璃寺の九体阿弥陀の修理完成を記念して開催される本展では、仏像の宝庫ともいえる南山城の数々の貴重な仏像を通じて、その歴史や文化の奥深さを辿っていきます。

浄瑠璃寺九体阿弥陀堂 画像提供：飛鳥園

独自の仏教文化が花開いたこの地には奈良時代や平安時代に創建された古刹が点在し、そこには優れた仏像が伝わってきました。。
平安時代に貴族たちが極楽往生を願い、九体阿弥陀（９体の阿弥陀如来像）を阿弥陀堂に安置することが流行しましたが、九体寺とも呼ばれる浄瑠璃寺には当時の彫像・堂宇が唯一現存します。９体の阿弥陀如来像が並ぶ様子はまさに極楽浄土の世界を表わしています。また、かつて恭仁京があった瓶原を山腹から望む海住山寺檀像の《十一面観音菩薩立像》（重要文化財）は、鋭く明快な彫りが魅力の平安時代初期の名作として知られます。
また、10世紀末に東大寺の平崇上人が創建した禅定寺には、彫刻の造形が和様化し始めた時代の特徴を示す巨大な《十一面観音菩薩立像》（重要文化財）が伝わります。そして、極楽寺の《阿弥陀如来立像》（重要文化財、行快作）のように、鎌倉時代に奈良の地で活躍した慶派仏師の手になる仏像も存在しています。それぞれの時代に作られた仏像が伝わることは、この地が絶え間なく信仰の場であったことを表わしています。

11月12日（日）まで
https://yamashiro-tokyo.exhn.jp