現代美術家・横尾忠則の画家活動最大のシリーズとなる「寒山拾得」の完全新作102点が東京国立博物館 表慶館で一挙初公開されています。中国、唐の時代に生きた伝説的な2人の詩僧をテーマに、絵画史の先端に位置する横尾忠則が独自の解釈で1年をかけて描き出した世界は、百面相のように観るものにさまざまな問いを投げかけるような内容となっています。
奇妙な笑いを浮かべ、常軌を逸したふるまいで知られる寒山拾得。中国、唐時代に生きた伝説的な「寒山」と「拾得」という詩僧のこと。仏教では真理を目覚めさせる「散聖」ともされ、古くから多くの知識人を惹きつけ、東洋においては伝統的な画題となりました。その世俗にとらわれない暮らしぶりは、森鴎外や夏目漱石といった日本の近代文学にも取り上げられています。
新型コロナウイルス感染症流行下の創作活動によって生み出された「寒山拾得」シリーズは、画家が独自の解釈で再構築したもの。時には歴史的な人物と重なり、さらには現世を生きる人にも邂逅。時空を超越し、広大な時空を縦横無尽に冒険するかのように描き出された寒山拾得を通して、自由で束縛のない世界をわたしたちに体感させてくれます。
12月3日(日)まで。
詳しくは展覧会公式サイトまで
https://tsumugu.yomiuri.co.jp/kanzanhyakutoku
今回の展覧会の関連企画として特集「東京国立博物館の寒山拾得図ー伝説の風狂僧への憧れー」が本館特別1室で開かれています。各時代に描かれた寒山拾得図のさまざまな表現を通じて、人々が見つめた様相が紹介されています。横尾忠則の世界と併せて鑑賞するまたとない機会です。
10月11日(水)~11月5日(日)まで。
※「横尾忠則 寒山百得」展とは会期が違いますので、ご注意ください。