深掘POINT1
時を越える赤レンガ

東京では珍しい明治初期の煉瓦造建築で、都内で最古のレンガ建築と言われる東京芸術大学赤レンガ1号・2号館。芸大音楽学部の正門守衛所の裏に並んで建てられているので、外からも見ることができます。東京芸術大学の前身である東京美術学校の開設前からあるこの建物は最初の校舎であり、いわば芸大のルーツともいえる歴史的に非常に大切な建物。1号館は明治9年に教育博物館の書庫として建てられたもので、書籍庫(昔はカハクの資料館)として耐火を重視し、すべての開口部に鉄扉を付設するなどの不燃性を重視したつくりが幸いし、現存しています。

深掘POINT2
美術家岡倉天心

岡倉天心(1863-1913)は横浜に生まれ、東京開成学校(現東京大学)に学び、同校講師フェノロサの美術論に強い影響を受け、フェノロサとともに東京美術大学設立のため、欧米美術視察に派遣され、海外のアートを取り入れました。明治23年(1890)に東京美術学校の第二代校長となり、実質的な現在の基礎を作りました。現代日本における美術史学研究の開拓者です。美術学部構内に、岡倉を記念して設置された六角堂には、平櫛田中の手による「岡倉天心像」が置かれています。

深掘POINT3
武蔵野の奥の細道

藝大のキャンパス内に学生たちが通称「奥の細道」と呼んでいる大木に覆われた一画があります。長年の間に常緑樹が勢力を伸ばし、かつ外来種による侵略もあり、暗い単一的な植生の古く弱い森になってしまっていたことに気づいた学生や教職員は武蔵野由来の樹種100種以上、苗木の数にして約1800本を自らの手で一つ一つ植えてきました。ゆるやかに世代交代ができるような健康な森を人の手を入れることで持続させていこうと取り組んでいます。