東京国立博物館では、3月~9月にかけて、江戸時代を舞台にした展覧会が多数予定されています。その第一弾として現在放映中の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(NHK) の主人公で、江戸のメディア王と称された “蔦重” こと蔦屋重三郎(1750~1797)に焦点を当てた特別展「蔦屋重三郎 コンテンツビジネスの風雲児」が開催されています。風刺や滑稽を取り混ぜた黄表紙や洒落本、情報網を駆使した美人画シリーズなど庶民の心を鷲掴みにした「本」の数々、江戸文化の発信源となる狂歌集、狂歌絵本。そして浮世絵師たちの魅力を最大限に生かした錦絵……。統制の厳しい時代背景の中で蔦重が生み出したバイタリティーのある世界が生き生きと立ち上がっている迫力ある展覧会です。ナビゲーターは、大河ドラマで蔦重役の横浜流星さんが担当しています。

『箱入娘面屋人魚』 山東京伝作 墨摺小本 寛政3年(1791) 東京国立博物館蔵 ※会期中、頁替えを行います

重要文化財「エレキテル」 平賀源内作 江戸時代・18世紀 郵政博物館蔵 前期:4/22(火)~5/18(日)(後期は複製を展示)
江戸時代の傑出した出版事業者である蔦屋重三郎は、喜多川歌麿、東洲斎写楽など名だたる浮世絵師を世に出したことで知られています。江戸の遊郭や歌舞伎を背景に、狂歌師や戯作者と親交を深めるなど、武家や町人、人気役者、人気絵師のネットワークを縦横無尽に広げながら、さながらメディアミックスによって出版業界に新機軸を打ち出しました。そこに根差したものは徹底的なユーザーの視点であり人々が楽しむもの、面白いものを追い求めたバイタリティーにあるといえるでしょう。
今回の展覧会は、大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢芝居~」(NHK)とも連携し、ドラマのセットを使って、蔦重が活躍したころの江戸の街にタイムトリップしたような空間を楽しんでいただきながら、蔦重が創出した価値観や芸術性を体感していただきます。
今年は奇しくも、江戸文化の誕生と発展の起点となった寛永寺が、現在の上野公園一帯の地に創建されてからちょうど400年を迎えたメモリアルイヤー。時を越えて上野の地に、再びの江戸文化が花開きます。

「婦女人相十品 ポッピンを吹く娘」 喜多川歌麿筆 大判錦絵寛政4~5年(1792~93)頃 東京国立博物館蔵 前期:4/22(火)~5/18(日)

17 重要文化財「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」 東洲斎写楽筆 大判錦絵寛政6年(1794) 東京国立博物館蔵 前期:4/22(火)~5/18(日)
期間/ 4月22日(火)~6月15日(日)まで。
会場/ 平成館。
お問い合わせ/ 050-5541-8600(ハローダイヤル)
展示作品は前期(4月22日~5月18日)と後期(5月20日~6月15日)で入れ替わります。