東京国立博物館では、開創1150年記念 特別展「旧嵯峨御所 大覚寺 ― 百花繚乱 御所ゆかりの絵画―」が1月21日(火)より始まっています。
旧嵯峨御所大覚寺は、嵯峨(京都市右京区嵯峨)に位置する真言宗大覚寺派の大本山で、その歴史は約1200年前、嵯峨天皇(786⁻842)が造営した離宮・嵯峨院から始まります。貞観18年(846)に寺に改められ、弘法大師空海(774⁻835)を宗祖とする寺院になり、歴代天皇や皇族、摂関家が代々住職をつとめる門跡寺院(もんぜきじいん)として、高い格式を誇ってきました。
本展は来年、令和8年(2026)、大覚寺が開創1150年を迎えるのに先立ち企画されたもので、優れた寺宝の数々が一挙に紹介されています。安土桃山~江戸時代を代表する画家・狩野山楽かのうさんらく(1559-1635)の代表作として重要文化財に指定されている障壁画のうち、123面を展示するほか、信仰の歴史を物語る歴代天皇による書や、平安時代後期の仏像を代表する明円みょうえん作「五大明王像」など、密教美術の名品も公開されています。待春の候、まさに百花繚乱の春を先取りに、上野公園にぜひ足をお運びください。
3月16日(日)まで。

総長22m。徳川秀忠の娘で、後水尾天皇に入内した和子の御所を飾ったといわれる襖絵「牡丹図」。狩野山楽の代表作。全18面一挙公開は寺外初。

本展は4つの章立てからなり、第1章から第3章までは時代ごとに大覚寺の歴史をたどり、平安時代、鎌倉時代、そして南北朝から江戸時代にかけて、各時代の象徴的な寺宝をご紹介されています。第4章では、本展の中心的な作品となる華やかな障壁画が会場を彩ります。

大覚寺に伝わる約240面の襖や障子絵などの障壁画のうち今回公開される123面は圧巻です。なかでも総長約22mに及ぶ牡丹図は狩野山楽の代表作として知られ、全18面一挙公開は寺外初となり、今回の見どころの一つです。また、平安時代後期の仏像の最高傑作のひとつ、天皇家ゆかりの「五大明王像」は、5体揃ってはじめて東京に登場。また、大覚寺中興の祖である後宇多法皇自らが記した空海の伝記「後宇多天皇宸翰 弘法大師伝」(2月16日までの展示)や 源氏の興亡と深くかかわり、大覚寺に伝わる「薄緑〈膝丸〉」、北野天満宮に伝わる「鬼切丸〈髭切〉」の兄弟刀も見逃せません。この兄弟刀が2つ揃って展示されるのは関東では初めてのことで、刀剣ファンならずとも日本刀の極限の機能美には目を奪われます。

重要文化財 五大明王像 明円作 平安時代・安元3年(1177) 京都・大覚寺蔵

大覚寺に伝わる「薄緑」及び「膝丸」の伝承を持つ太刀と、京都・北野天満宮に伝わる「鬼切丸」および「髭切」の伝承を密たちの揃っての展示                              左)重要文化財 太刀 銘 □忠(名物 薄緑〈膝丸〉) 鎌倉時代・13世紀 京都・大覚寺蔵 右)重要文化財 太刀 銘□安綱(名物 鬼切丸〈髭切〉) 平安時代~鎌倉時代・12~14世紀 京都・北野天満宮蔵

重要文化財 後宇多天皇像 鎌倉時代・14 世紀 京都・大覚寺蔵 展示期間:1 月21 日(火)~2 月16 日(日)