国立西洋美術館(東京都台東区上野公園 7-7、館長 田中正之)では 2024年6月11日(火)〜8月25日(日)まで、「内藤コレクション 写本 — いとも優雅なる中世の小宇宙」が開催されています。
印刷技術のなかった中世ヨーロッパにおいて、写本は人々の信仰を支え、知の伝達を担う主要な媒体でした。羊や子牛などの動物の皮を薄く加工して作った紙に人の手でテキストを筆写し、膨大な時間と労力をかけて制作され、ときに非常な贅沢品となりました。なかには、華やかな彩飾が施され、一級の美術作品へと昇華を遂げている例もしばしば見られます。
同館では2015年度に、筑波大学・茨城県立医療大学名誉教授の内藤裕史氏より写本零葉(零葉:本から切り離された一枚一枚の紙葉)を中心とするコレクションが一括で寄贈されました。

聖王ルイ伝の画家(マイエ?)彩飾《『セント・オールバンズ 聖書』零葉》フランス、パリ 1325-50年 彩色、インク、金 /獣皮紙 内藤コレクション 国立西洋美術館蔵

これまでも、2019-20年度に三期にわたり小企画展として内藤コレクションが紹介されてきましたが、コロナ禍のさなかで小規模なものにとどまらざるを得なかったため、今回、内藤コレクションを中心に、国内の大学図書館の所蔵品も若干数加えた約150点を一堂に展示。数年間にわたる作品調査を経て、初の大規模な写本展になっています。
展覧会は、第1章「聖書」、第2章「詩編集」、第3章「聖務日課のための写本」、第4章「ミサのための写本」、第5章「聖職者たちが用いたその他の写本」、第6章「時祷書 」、第7章「暦」、第8章「教会法令集および宣誓の書」、第9章「世俗写本」で構成されています。
書物の機能と結びつき、文字と絵が一体となった彩飾芸術の美「中世の小宇宙」をぜひご堪能ください。

《詩編集零葉》南ネーデルラント、ブリュッヘ 1260年頃(?) 彩色、インク、金 /獣皮紙 内藤コレクション 国立西洋美術館蔵

会期中の関連イベントとして、スライドトークも開催されています(当日受付)                                                 

また、8月3日(土)は、会話しながら気軽に作品を鑑賞できる「にぎやかサタデー」。この日は、常設展に加え、同展覧会も観覧料無料になります。

お問合せ| 050-5541-8600(ハローダイヤル)
国立西洋美術館公式サイト| https://www.nmwa.go.jp/
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