日本では50年ぶりとなる大キュビスム展、「パリ ポンピドゥーセンター キュビスム展-美の革命 ピカソ、ブラックからドローネー、シャガールへ」が、国立西洋美術館で開催されています。パリのポンピドゥーセンターの所蔵品から、キュビスムの歴史を語る上で欠くことのできない貴重な作品が多数来日、そのうち50点以上が日本初出品です。20世紀美術の真の出発点となり、新たな地平を開いたキュビスムの豊かな展開とダイナミズムが、主要作家約40人による絵画を中心に、彫刻、素描、版画、映像、資料など約140点を通して紹介されています。
キュビズムは20世紀初頭、パブロ・ピカソとジョルジュ・ブラックという2人の芸術家によって生み出され、西洋美術の歴史にかつてないほど大きな変革をもたらしました。その名称は、1908年にブラックの風景画が「キューブ(立方体)」と評されたことに由来します。伝統的な遠近法や陰影法による空間表現から脱却し、幾何学的な形によって画面を構成する試みは、絵画を現実の再現とみなすルネサンス以来の常識から画家たちを解放しました。
キュビスムが開いた視覚表現の新たな可能性は、パリに集う若い芸術家たちに衝撃を与え、瞬く間に世界中に広まり、それ以後の芸術の多様な展開に決定的な影響を及ぼしています。
本展はポンピドゥーセンターと国立西洋美術館という日仏を代表する国立美術館の共同企画によって実現されたもので、20世紀美術の真の出発点となったキュビスムの全貌を明らかにします。
なかでもハイライトは、ピカソ12点、ブラック15点というこれまでにないまとまった作品数で、絶えず変化を続けながら展開した2人の画家によるスリリングなキュビスムの造形実験を追体験できることです。どの作品も第一級ですが、ピカソのプリミティヴな裸婦像に衝撃を受けて制作されたブラックの重要作《大きな裸婦》(1907年冬-08年6月、日本初出品)、ポンピドゥーセンターを代表するピカソのキュビスム絵画《肘掛け椅子に座る女性》(1910年)は必見です。
公的な展覧会の場で積極的に集団展示を行い、ピカソとブラックとは異なるキュビスムの流派を築いた「サロン・キュビスト」と呼ばれる画家たちの絵画では、ポンピドゥーセンターの人気作品で横幅4メートルにも及ぶロベール・ドローネーの大作《パリ市》(1910-12年)が初来日します。また、初期の傑作《ロシアとロバとその他のものに》(1911年)を含む、粒揃いのシャガールの絵画5点にもご期待ください。
問合せ:050-5541-8600(ハローダイヤル)
展覧会公式サイト:https://cubisme.exhn.jp
展覧会公式X(旧twitter):@cubisme2023_24
巡回:京都市京セラ美術館 2024年3月20日(水・祝)~7月7日(日)