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特集! 上野「文化の杜」

Special Topics

「杉戸洋 とんぼとのりしろ」展レポート

2017.09.06

タイトルがないからこそ
刺激される鑑賞者の感性

 

では杉戸が創り上げた空間をちょっとのぞいてみましょう。
 
 
 展示は地下3階からスタート。エントランスで渡された簡素な見取り図を頼りに歩いていくと、最初の部屋には白い壁面に沿って、大小様々な平面作品が展示されています。
 
 淡い色合いで描かれた大きなアーチの下に置かれた鮮やかな彩りのカンヴァス、ラフに描かれた家のモチーフ、薄いグレーに塗られた巨大なカンヴァスにはネオンカラーの糸が縦横に走ります。
 壁に掛けてあるものもあれば、床面に無造作に置かれたもの、スポンジの上に載せられたものなど、視点の高さもまちまち。何を描いたものなのか、何を表現しているのか、タイトルも作品の解説もないからこそ、鑑賞者たる私たちの感性を大いに刺激します。
 

 

白い部屋を出ると吹き抜けのある大きな空間へ。当展示室ならではの有機的な質感のはつり壁を背景に、杉戸の真骨頂である色鮮やかな絵画が整然と並んでいます。

 

 

 小さな家、空、舟などのシンプルなモチーフやリズミカルに描かれた幾何学模様……。パステル系の色合いも、ビビットな色合いも、どちらも不思議とこの空間になじみます。ふと上を見上げると、上層にある窓から差す柔らかな光が、杉戸の描き出す色彩と自然に調和していきます。
中央に置かれた赤、青、黄の椅子、ダンボールで造られた廂のあるソファなど、リビングルームと呼ぶにふさわしい居心地のよい空間は、時が経つのを忘れさせてくれるでしょう。
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