メニュー

上野「文化の杜」レポート

Article

「バベルの塔」展内覧会レポート

バベルの塔が24年ぶりの来日!!!
【バベルの塔】展のプレス内覧会の模様をお伝えします。
article01-01

4月17日(月)、東京都美術館の「バベルの塔」展プレス内覧会にてギャラリートークが開催され、本企画展を担当された学芸員やボイマンス美術館の館長などから今回の展覧会の見どころをご紹介していただきました。
ギャラリートークでは、ボイマンス美術館のエックス館長はバベルの塔の解説をされました。
以下は解説の要約です。

ブリューゲルの『バベル』は想像力の賜物であり、ファンタジーでもあり、ストーリーでもあり、そして、知識でもあります。-エックス館長(ボイマンス美術館)

article01-02 ボイマンス美術館では1500~1580年の作品を時系列に飾っている美術館でて、今回の展示ではオランダ人が日本に到着する100年前の作品が展示してあります。今回の目玉であるブリューゲルの『バベル』は想像力の賜物であり、ファンタジーでもあり、ストーリーでもあり、そして、知識でもあります。ローマのコロッセウムからもモチーフを取り、ブリューゲル自身、自分はスキルに満ちた知識人であると訴えかけています。彼は細部を細かく描く知識もありました。このストーリーは聖書の中の話ですが、船や海が描かれているのは、これがネーデルラントを描いていることの表れでもあります。北海に近いアントワープの風景だったのではないかという説もあります。農民が小さく描かれ、太陽が注ぐ夏の日だと推測されます。それと同時に約500メートルの高さの建物が描かれている。この作品は後世にとても影響力を持った作品です。

詳しく見てみましょう。この建物を作る石はどこから来たのか?赤レンガと、下の階は色が違います。それは、膨大な石が色々な地域から来ている証拠です。これは事実であり、フィクションであり、高度に洗練されたストーリーをも描き切っています。16世紀の人々の生活も分かります。、80年前であれば作家の名前を書くことはできませんでしたし、描けるモチーフは宗教的題材のみでした。これは人類の神への挑戦への物語でもあります。ストーリーの背景には真実を求めるローマの影響があります。人の想像力の素晴らしさを語った絵画です。誰も答えることのできない問いかけであり、その答えはフィクションの世界にあるのかもしれません。私の同僚はこの作品を語るのに3時間かかると言います。私は彼に、3週間かかるというでしょう。といえば、私の同僚は3ヶ月かかるというかもしれません。私は3年かかるとも…笑。これだけの作品が一堂に会することは滅多にありません。ボスも素晴らしいので、この展覧会のすべてをぜひご堪能ください。article01-03
他にも、東京都美術館山村学芸担当課長から今回の見どころの紹介がありました。
16世紀前半の絵画の流れがよくわかる展示であり、彫刻作品はもともと祭壇に飾ってあったものが切り分けられて別々の像になっているとのことです。細密な人間的な彫刻で19世紀に彩色が剥がされた経緯があります。なかなか日本には持ってこれない貴重なものなので、今回の見どころのひとつです。
“質感とマチエールの輝きと、下地の透明感をこそ味わってほしい!”
-山村学芸担当課長(東京都美術館)

 ヤン・ファン・エイクの油彩画技法を16世紀に引き継いだネーデルラント地方の画家たちの流れが一望できます。注目のポイントは、質感とマチエールの輝きと、下地の透明感をこそ味わってほしい!とのことでした。裏面に静物が描かれている聖母子像は当時流行した様式です。本展覧会の緑色は宗教コーナー、黄色は風俗画・風景画・肖像画コーナーとなっており、後者は馴染みやすいモチーフを描いた展示となっていおります。ソドムとゴモラの作品は、ロトと娘が逃げているところを描く宗教的作品ですが、全体として風景画となっています。宗教画から風景が画へ、前近代から近代へと移り変わる様子がわかります。

ボスのクリストフォロスの絵画には、キリストなどの宗教画のモチーフと、熊や小人といった不思議なモチーフが描かれ、その両方が合わさっている絵画です。バベルの塔も宗教的題材を用いていますが、主に描かれているのは風景画であり、豆粒ほどの膨大な人が描かれています。前近代から近代への流れが凝縮されている絵画と言えるでしょう。

article01-05

“いくら拡大しても拡大しても、しっかり人の形になっている。” —宮廻教授(東京藝術大学COI拠点研究リーダー)

東京藝術大学COI拠点研究リーダーである宮廻教授からはバベルの塔に関する研究成果を披露されました。
バベルの原画を縦横300パーセントに伸ばしたら、よく見えるのではないでしょうか。面積的には900パーセントの大きさになります。この大きさにすると見えてくるものがあります。東京藝術大学ではこの絵を動かすことができる展示をしています。一枚の絵から展開していくものが作られるのです。昼の景色が夜の景色にも変わるプロジェクションマッピングなども行われます。 ブリューゲルは人間を白色でチョンと描いている。しかし!それでもちゃんとひとのかたちになっている。いくら拡大しても拡大しても、しっかり人の形になっている。バベルの塔が徐々に完成していく様子も垣間見ることができます。この一枚の絵がどれだけ優れているか今後の研究として続けていきます。たくさんの情報が詰め込まれているバベルを今後、COIでも研究を続けていきます。こういう見方もできるのではないか、というビジョンを改めて提示する展覧会なのです。

article01-06

雨宮塔子さん(展覧会オフィシャルサポーター)のコメントもご紹介いたします!展覧会に来られる方へコメントをいただきました。 主題は聖書なのに風俗とのシュールなバランスがとても素敵だなと思います。イタリアルネサンスはよく華々しく特集されますが、あの時代のネーデルラント美術も素晴らしく、渋いところです。アレゴリーとイコノロジー的読み解きを楽しんでもらえればと思います。